角膜潰瘍(角膜外傷)

 

 角膜は、眼の表面にある透明の組織で、涙で常に覆われ保護されています。睫毛(まつげ)の異常(逆さまつげなど)、眼瞼の異常(内反症、露出性角膜症候群)、涙液(なみだ)の異常(乾性角結膜炎)があれば角膜は傷つきやすくなり、角膜に潰瘍(キズ)を起こすことが多く見られます。眼の大きな犬(小型犬や短頭種)では、眼を何かで傷つけたり、顔こすったりしたとき眼に傷が入ることがあります。角膜潰瘍を起こすと角膜の透明性が失われ、白っぽく見えます。犬は痛みがあり、視覚障害も起こします。潰瘍が進むと、角膜に穴が開き、眼がつぶれてしまうこともあります。

 

【症状】

 痛みのため眼がしょぼしょぼする、眼を気にしてこすったり引っ掻いたりする。眼の表面に白っぽく見える部分がある。目やにが多い。眼が赤い。

 

  眼をぶつけてできた角膜潰瘍

 

 

 

 

 

 


                       逆さまつげの刺激による角膜潰瘍

                               

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  試験液に染色された潰瘍部分(緑色の部分)

 

                      

 もう少し進行すると、角膜に穴が開き、失明する

 

  

【治療法】

 角膜を保護して、角膜が再生するのを助ける治療が行われます。

1.        点眼 軽度のものでは点眼だけで治療できることもあります。

2.          コンタクトレンズ 比較的軽度の角膜潰瘍に適用

治療用ソフトコンタクトレンズ  レンズの装着 通常は点眼麻酔   装着されたレンズ

                だけでおこなう          1週間から2週間装着

 

 

 

 

 

 

 


*装着したレンズが落ちにくいように、まぶたの一部を上下縫い合わせることがある
 

3.        瞬膜被覆術 瞬膜(人間にはない目頭側にある膜状組織)で角膜を覆う

瞬膜を糸で引っ張りあげて固定する   

   糸がまぶたに食い込まないように、

チューブ状クッションを使用する         実例 (抜糸は2〜3週間後)

 

 

 

 

 

 

 


*通常は全身麻酔でおこなわれる手術である。

 

4.結膜弁移植術 結膜の一部を角膜潰瘍部に縫いつけ角膜を保護する。深い潰瘍に対して

         おこなわれる手術で、全身麻酔のもと手術用顕微鏡を用いておこなわれ

         る高度な手術です。

    結膜の切り出し                結膜の形を整える              潰瘍部位に縫合

 

 

 

 

 

 

 

 


  当院での実症例 1 深い広い潰瘍            結膜弁を角膜潰瘍部位に縫合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


              術後一ヶ月 眼はつぶれずに維持されている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


実症例 2 深い潰瘍                手術中 

     

 

 

 

 

 

 

 

 

     治療はかなり長期になる(数ヶ月から半年)。最終的には角膜の一部に白濁(白く濁る)部分が残ることが多い。

 

この手術が適用されるような深い潰瘍は、眼がつぶれる直前の状態である。この手術のような高度な手術をおこなっても完全にもとの状態に戻すことは難しい。治療はできる限り速いに超したことはない。眼の病気は進行が速いものが多いので、気をつけて動物を観察してあげてください。

 

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