白内障
 白内障とは、加齢(年をとった)、先天的素因(遺伝による生まれつきのものと若いうちになるもの)、糖尿病、外傷、薬物、放射線などの原因により、水晶体が白く濁ることによって視覚障害を起こすことをいいます。


    先天性白内障(瞳孔膜遺残を伴う先天的異常)


 

 

 

 

 

 
    若令性白内障(右眼白内障--写真では左 左眼は正常--光っているほう)
 

 

 

 

 

 

 
    老令性白内障
 

 

 

 

 

 

 
【治療法】
 初期の段階では、点眼薬によって進行を抑えることは可能ですが、程度の進んだものでは点眼薬の治療ではまったく効果がありません。現在では濁った水晶体を手術によって取り出し、人工眼内レンズを入れる治療法がおこなわれています。最新情報「犬 白内障の実際」のページも参照ください

手術は全身麻酔を施し、手術用顕微鏡を使って行います。当院における実際の手術の様子
 

 

 

 

 

 

 

 

                手術手順(概要)  
フォールダブルレンズ(折りたたみレンズ)・超音波乳化吸引装置を使った最新手術手順は赤文字

1.  角膜切開
メスで角膜を切り、次に角膜剪刀(はさみ)で切り広げる。
 

           3ミリほどの角膜切開
           


2.前嚢切開

水晶体を包む嚢の前側(前嚢)を剪刀(はさみ)で丸く切り取る。
      

            前嚢切開 
            


3.水晶体の摘出 角膜を切ったところから、濁った水晶体を取り出す。

      
取り出した水晶体
 

 

 

 

    

超音波乳化吸引装置をつかって、水晶体を破壊して吸い出す方法が最近の主流
 

 

 4.レンズ挿入  水晶体が入っていた嚢の中に、丸く切り取った前嚢の切開部
から眼内レンズを入れる。眼内レンズは眼の状態によっては入れないこともあります。
 
挿入した眼内レンズ 直径は6mm
 

 
    潟<jワン販売の犬用フォールダブルレンズ(折りたためるレンズ)
        

    フォールダブルレンズ挿入 専用の折りたたみ器具を使って3ミリほどの角膜切開部から入れる 
  

 

5.角膜縫合  最初に切った角膜を縫いあわせて手術を終了する。
 

 
  手術時間は1時間程度です。全身麻酔のため、手術中の痛みはありません。手術後しばらくは目がしょぼしょぼしたようになりますが、それほど痛みを訴えるものではありません。角膜を縫った糸は、抜糸が必要な場合と必要でない場合がありますが、必要な場合は約1ヶ月後に行います。
  

手術後について
手術後は約1週間の入院が必要です。毎日の注射、投薬、点眼、検査が必要です。退院後は自宅で飼い主さんに投薬、1日数回の点眼を行って頂きます。通院は1週間に1回程度で、目のチェックをしていきます。
目を気にして前足で引っかいたり、ぶつけたりしないように手術後約1ヶ月はエリザベスカラーをつけたままにします。
抗生物質の静脈注射(入院中)
 
数種類の内服薬(退院後も数週間継続)


 

 

 

 

 
 
  
数種類の点眼薬を1日3〜6回
 
退院後は自宅で飼い主さんが行う
 

 

 

 

 

 

 
 
目のチェック(入院中は毎日、退院後は週1回)
                                                 
                       
                                                                     エリザベスカラーの装着 約1ヶ月間
   
   退院後は目をぶつけたりしないように注意する必要があります。シャンプーもしばらくはできません。 

手術症例  
       白く濁った水晶体。目が白っぽく見えるから内障といわれる。

手術前
                                    
透明感がない


 

 

 

 

 

 

 手術後
手術による炎症反応の為、程度の差はあるが、
目の中に白くもやもやしたフィブリンが現れる。
角膜の縫合部に白濁が残るが見た目はほとんどわからない。          
 眼内レンズが挿入されている。
 

 


                                                   
透明感の戻った手術後の眼           手術前        手術後 表情が明るくなる
         

                      

 



両眼白内障 光を失った力のない眼 犬の表情も暗く感じる
   

手術後は眼に透明感が戻るため犬の表情が明るくなり、視力も向上するため犬の行動が活発になり元気がでる。

手術後
 


白内障の手術
白内障は、眼の中にある水晶体という部分が白く濁ることによって視覚に影響している状態を言います。現時点では、ヒトの方でもそうですが、手術によって濁った水晶体を取り出す方法しか根本的な治療法はありません。犬でも白内障はよく見られ、犬用の眼内レンズも開発され、ヒトと同じように手術によって治療が可能となってきました。

当院でも、手術に必要な器具(手術用顕微鏡・眼科手術器具など)、薬品をそろえ、治療体制を整えています。決して簡単にできるものではなく(犬の水晶体はヒトと比べ物にならないくらい大きく、手術が難しいうえに手術後の炎症反応もヒトと比べて強い。またその炎症を止めていく為に飼い主さんが行う点眼や投薬がたくさんあったり、犬が目をぶつけたりしない様に注意するなど飼い主さんの労力が必要)費用もかかるものです。(眼の状態、犬の大きさなどによって異なりますが、平均的な手術費用で15万円程度かかります)でも、目が見えるということと目が見えないということの違いは言うまでもないことです。
見えなかったあるいは見えにくかった目が手術によって回復することにより、犬は表情が明るくなり、元気に活発に行動できるようになります。労力と費用を掛ける価値のある手術だと考えています。
  *当院は和歌山県では唯一白内障の手術が実施できる動物病院です。
当院では、眼科の技術・知識向上のため、セミナーや学会に積極的に参加しています。(そのため臨時休診になる日もありますがご了承ください。)
また、ヒトの眼科医であり、経験豊富な、和歌山市開業 眼科松本クリニックhttp://www.vaw.ne.jp/matsumoto/ 松本英樹 院長に技術・知識両面においてアドバイスをいただいています。

 

 

 

 

 

 


               白内障手術の適応基準
白内障手術が適応されない場合
1.性格・行動に問題のある犬
臆病で人馴れしていなく触ることさえできない
神経質で入院や治療されることに耐えられない
噛み癖があったり攻撃的な性格で点眼などの治療ができない
2.自宅治療ができない
飼い主さんが自宅で犬に点眼や投薬ができない
飼い主さんが不在がちで1日数回の治療ができない
3.犬が高齢すぎる
高齢によるボケ症状がある
余命が残り少ない
4.白内障以外に健康状態に問題がある
全身麻酔に耐えられない健康上の問題がある
5.白内障以外の眼の疾患がある
術前の検査で問題がある
6.白内障で視力を失ってから1年以上経過しているもの
網膜に異常を来していることが多く、手術しても視力が回復しない
7.全身麻酔の危険性や術後の合併症を考慮し、手術に同意して頂けない
手術同意書をお読み下さい

白内障手術が適応となる場合
健康で温厚な性格を有し、白内障手術により視力が改善されるかあるいは視力の回復が可能と判断される場合
白内障の手術療法のことを理解し、手術に同意して頂ける場合

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